
1月29日、フィンランド大使館の公式ツイッター(@FinEmbTokyo)に、とあるフォロワーの方から「ストライクウィッチーズというアニメにフィンランドの戦時中の英雄をモチーフにしたキャラクターが登場するのをご存知ですか?」という質問が寄せられた。これに対してフィンランド大使館公式ツイッターを管理する「フィンたん」が「全て把握しております」と答えたところ、大きな反響を呼んだ。ソーシャルメディアのユーザーの方々の中には漫画・アニメファンの方が多い。この一連のやりとりが一気にネット上に拡がったことからも、日本での漫画・アニメの人気の高さがうかがえる。
「ストライクウィッチーズ 劇場版」は現在日本で大変な人気を誇るアニメ作品だ。この作品には第2次世界大戦中のフィンランドのエースパイロット「エイノ・イルマリ・ユーティライネン」を基にした「エイラ・イルマタル・ユーティライネン」というキャラクターが登場する。なお、男性である「エイノ」が、現代日本に女性キャラクター「エイラ」として生まれ変わって誕生したという点も見どころだ。
日本のアニメや漫画作品にはエイラ以外にも、フィンランドからインスピレーションを得たキャラクターが存在する。例えば「BE・LOVE」(講談社)に掲載中の「生徒諸君! 最終章・旅立ち」の主人公は、教師になることを目指してフィンランドに留学して奮闘しているが、彼女の脇を固めるのはもちろんフィンランド人のキャラクターだ。また、ヘタリアというアニメにはフィンランドをモチーフにした「フィンランド」というキャラクターが登場する。フィンたんはこれ以外にもさまざまなフィンランドモチーフのキャラクターを把握している。
フィンランド大使館公式ツイッターの立役者とも呼べるエイラ。その誕生秘話をフィンたんが作者の島田フミカネ氏に聞いた。
「ストライクウィッチーズは7年前から始まった企画なんです」と島田氏は語る。「軍事や歴史に関心が高い層が特に注目する第2次世界大戦に焦点を当て、実在する各国のエースをモチーフにキャラクターを生み出しました。その彼女たちが言わば「ドリームチーム」を結成し、一丸となって悪役「ネウロイ」に立ち向かう、という設定がストライクウィッチーズの世界です」
日本の軍事・歴史ファンの間でフィンランドの近代史は人気が高い。梅本弘著の『雪中の奇跡』『流血の夏』(共に大日本絵画)や、先日発売となったペトリ・サルヤネン著の『白い死神』(アルファポリス)など、フィンランドの独立直後の冬戦争および継続戦争に関する書籍は多く翻訳・出版されている。
そうした背景のなか、ストライクウィッチーズにフィンランドを想起させる国家「スオムス」が登場したのは自然な流れだったようだ。「強大な軍事力を持つソ連と貧弱な兵力で対等に戦い、独立を維持したところに共感する人は多いようです」と島田氏は言う。フィンランドの近代史を語るうえで、外すことのできない人物がいる。「無傷の撃墜王」とも呼ばれる実在のエースパイロット、エイノ・イルマリ・ユーティライネンだ。ユーティライネンは一度も被弾することなく、ドイツを除いてトップの撃墜数94を誇る。「類まれなる才能を持ったこのユーティライネンという人物からエイラ・イルマタル・ユーティライネンは生まれたのです」
ストライクウィッチーズにはさまざまな国の、史実上の人物をモチーフにしたキャラクターが登場する。エイラのキャラクターはフィンランドの国のイメージを体現するために、スタッフ同士で相談しながら、手探りで作り上げられていった。「棒読み口調、物静かで飄々としたようで、浪花節的ど根性があり、クールでスマートな外見の内に、アツさを秘めているのがエイラです。また、エイラの声を担当する声優、大橋歩夕さんの声との相乗効果もあって、キャラクターが大きく成長していきました」
最後にフィンたんは島田氏のフィンランドに対するイメージを聞いた。
「森と湖、雪、先端技術・教育制度・福祉の発達した国、というのがフィンランドに対する一般的なイメージだと思いますが、ミリタリー、近代史の面から『こんな人たち、こんな歴史があったんだ』というのを、アニメという入り口から興味をもってもらえれば、という思いがありました。その入り口が、フィンランドに更なる興味を持つお手伝いとなっているなら、望外の幸せです」と、島田氏は言う。
「ストライクウィッチーズ 劇場版」大ヒット上映中!
角川シネマ新宿、シネマサンシャイン池袋 他 全国ロードショー