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フィンランド外務省

フィンランド大使館・東京: 最新ニュース

フィンランド大使館、東京

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最近の出来事・お知らせ, 2016/09/30

フィンランド、東京国際ブックフェアで注目を浴びる

riboon cutting
秋篠宮同妃両殿下を主賓に迎えた開会式のテープカットにシウコサーリ新大使も参列。その後、プレスイベントが行われている大使館に駆けつけた

9月23~25日に東京ビッグサイトで開催された東京国際ブックフェアに、フィンランドセンターが初出展した。東京ブックフェアは、世界20カ国から470社が参加する見本市で、日本最大の100万冊を展示。ブックフェアの初日となった23日、フィンランド大使館はフィンランドセンターとともに、フィンランドの読書文化や図書館制度などを紹介するプレスイベントを大使館の敷地内にあるフィンランドセンターで開催した。ブックフェアに招待されたフィンランド人作家のハンヌ・ヴァイサネン、ティモ・パルヴェラ、エンミ・イタランタも参加。3日前に天皇陛下に信任状を捧呈したばかりのユッカ・シウコサーリ大使が、公式業務として初となる冒頭の挨拶を述べた。

図書館は「市民のリビングルーム」

Tapani
フィンランドセンターのプロジェクトコーディネーターを務めるハッキネンが講演。フィンランドには、どんな場所に住んでいても図書館サービスを利用できるよう、移動式の図書館バスやボートまである

プレスイベントではまず、図書館司書の資格を持つフィンランドセンターのタパニ・ハッキネンが、フィンランドの一般的な読書事情を紹介。フィンランドには昔から読書家が多い一方、世界的な傾向である「本離れ」も進みつつある。対策のひとつが、図書館を「市民のリビングルーム」として打ち出すこと。「図書館といえば、本を借りるだけの堅苦しい場所でした」と、ハッキネンは言う。「でも今は、市民にとってもっと居心地のよいスペースに生まれ変わっています。コーヒーを飲みながら、ゆったりとした時間を楽しむことができます」。最近では、室内外のデザインも重要との認識が広まっている。本以外にも雨傘やスノーシューズなどバラエティ豊かな品々が借りられ、作曲を試したいと思えば防音室が備わっている図書館もあるなどサービスも充実している。

Sanna Pajusaari
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ラハティ市内の図書館で働く読書セラピー犬のアンサ

フィンランドの図書館で特徴的なのが、ルクコイラ(lukukoira)と呼ばれる読書セラピー犬だ。もともとはアメリカから伝わった試みで、フィンランド初の読書犬は2011年に活動を開始。今では50頭以上が全国各地の図書館で活躍している。読むことが難しかったり、何らかの理由で本を嫌うようになった子どもたちが、きちんと訓練された犬に読み聞かせることで、読書の喜びと前向きな体験が得られるとされている。「大人相手では恥ずかしくて音読できない子どもも、犬の前ではリラックスできます。犬は子どもを笑ったり評価したりしませんから」と、ハッキネンは指摘する。

プレスイベントでは、図書館と作家の関係、そして作家に対する豊富な助成金についても関心を集めた。フィンランドでは、図書館で本が貸し出されると1冊につき約15円が著者に支払われるという法律があり、2015年には国が820万ユーロ(約9.3億円)ほど負担した。日本の図書館は、ベストセラーを発売直後に大量購入して貸し出すため、本が売れないと作家や出版社側が指摘している問題がある。こうした事情から、会場の注目を浴びたようだ。

Parvela
パルヴェラは『シーソー』でフィンランディア・ジュニア賞(2006)を、『Tuliterä(炎剣)』でトペリウス賞(2007)を受賞した

このほかにも、作家が申請して承諾されれば得られる年間平均7000ユーロ(約80万円)の補助金や、1年や5年など長期にわたって受給できる補助金(たとえば月1400ユーロを受給)などがある。「フィンランドは人口がたった550万人の小さな国なので、政府は芸術活動を守ろうとしているのです」と、ブックフェアのために来日した作家のティモ・パルヴェラは説明する。

3人の作家、3人の物語

パルヴェラは、同じくブックフェアに参加している作家2人とともに自身の作品や活動について報道陣に紹介した。80の著書が40カ国、30言語で出版されているなど多作で、日本でも『マウとバウ』シリーズ(文研出版)や『シーソー』(ランダムハウス講談社)が翻訳されている。パルヴェラによれば、彼が書くものは「ユーモア」と「学校」の2つに集約できる。ユーモアは、年齢に関係なく誰もが分かり合える「言葉」。そして学校は、元教師として一番良く知っている話題だ。フィンランドでは児童文学作家として有名だが、「私は子どものためだけではなく、あらゆる年代に向けて書いています」と、パルヴェラは強調する。「偉大な児童書というのは、子どもだけを対象にしていません。ムーミンシリーズが良い例です」

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ヴァイサネンは1999年の『カレヴァラ』改訂版にイラストを施したことで有名に。処女小説『Vanikan Palat(少年時代)』は2005年度のフィンランド「本に感謝」賞を受賞

ハンヌ・ヴァイサネンは、2004年に処女小説を発表する前からビジュアルアーティストとして知られていた。画家と文筆家では異なるスキルや作業スタイルを要するが、「私の場合は、互いが補完し合い、上手い具合にまわっています。執筆活動をしているときには、頭に視覚映像が浮かぶんです」と、ヴァイサネンは説明する。次作は「祖先」がテーマの大人向けのおとぎ話で、膨大なイラストも自らが担当する。多彩で活動的なヴァイサネンは、今年の10月いっぱいを大阪で過ごし、文楽座のために脚本を手掛ける予定だ。

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イタランタの処女作は西村書店から2016年3月に出版された。東京国際ブックフェアで、翻訳を担当した末延弘子と

ブックフェアに参加するため初めて来日したエンミ・イタランタだが、日本には昔から馴染みがあったという。「私が小さいころ、母はよく源氏物語を読んでいました。ずっと日本に来たがっていたんです」と、イタランタは振り返る。デビュー作となったディストピア小説『水の継承者ノリア』(西村書店)は、資源が枯渇した管理社会で泉を守り、「茶人」になる修行を重ねる女性が主人公。日本を原点としているものが、「一巡してまた日本に戻ってきたような感じがしています。この本は日本文化に影響を受けて生まれ、邦訳版が出版されたことで日本の皆さんにも知っていただくことができました」と、イタランタは神妙な面持ちで語った。

賑わいを見せたフィンランドのブース

東京ブックフェアが開催された3日間、3人の作家たちは会場を訪れ、サイン会やトークイベントにいそしんだ。緑色が基調のフィンランドセンターのブースには白樺の写真が貼られ、マリメッコの生地で作られたルクテルッタ(lukuteltta、読書テント)と大きなムーミンのぬいぐるみが来場者を中へと誘った。9月25日の最終日には、セラピー犬3頭も登場。ブースを訪れた人々は犬に読み聞かせを試みたり、なでたり抱きしめたりして楽しんでいた。様子を見ていたある新聞記者は、フィンランドでの読書セラピー犬の取り組みに納得がいったようだ。「最近は、図書館に行く人自体が減っていますよね。犬が図書館に行こうと思う動機付けになることはわかる気がします」

therapy dogs
フィンランドセンターは読書セラピー犬の試みを日本でも知ってもらおうと、国際セラピードッグ協会(東京都中央区)に協力を依頼。普段は高齢者施設などで活躍している3頭が来場した

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更新 2016/10/21


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