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最近の出来事・お知らせ, 2017/09/27

フィンランド人デザイナーが切り開く持続可能なファッション

Portrait by Ellinor Stigle
Timo Rissanen

ファストファッションは消費サイクルも短い。ニューヨークのパーソンズ美術大学で教鞭をとるティモ・リッサネンは、ファッションブランドが資源を節約し環境に配慮しながら服を作ることは可能だと確信する。

1986年夏、11歳のティモ・リッサネンにとってフィンランド郊外での少年時代は平穏とはいえなかった。食料品を買いに行って、あまり深く考えることもなく買物かごをいっぱいにすることはもうできなかった。(現在のウクライナにある)チェルノブイリで原発が爆発したのだ。大惨事で生じた雲は北に移動し、フィンランドまで到達していた。

フィンランド人は食卓の準備するときも気をつける必要があった。森でベリーやキノコを摘むことも一時禁止されたことを多くの人々が覚えている。リッサネンは生まれて初めて環境というものが抽象的な概念ではないことを理解した。環境とは、口に入れる飲み水であり、肺に吸い込む空気であることに気がついたのだ。

10年後、リッサネンはオーストラリアのシドニー工科大学でファッションとテキスタイルを中心にデザインを学んでいた。ジュリア・ラース教授が授業で、生地や染料に含まれる強い毒性について触れたのを聞いて関心をもった。

生地と環境

Photo: Mariano Garcia; pattern: Timo Rissanen
ティモ・リッサネンがデザインしたパジャマを着るモデル
ティモ・リッサネンがデザインしたパジャマを着るモデル。パターンは、できる限り生地を効率的に使って無駄を生み出さないよう工夫されている。

リッサネンはその後、高級服のデザイナーになった。「生地の多くがバングラデッシュや中国、インドなど、生産過程や染料の毒性に規制がない国から輸入されていることを知りました。このことは、現地で生地の生産に関わる労働者ばかりか、製品としての服を身につける消費者、最終的には環境にまで影響を与えるわけです」。リッサネンはデザイナーとして研鑽を積みながら、ラース教授から学んだことを身をもって感じ、少年時代の体験を思い出した。

また、衣服が作られる過程で大変な無駄が生じることにも気がついた。「1ヤード(約90cm)200ドルもするインドやイタリア産の手織り生地の15%近くが無駄にされていました」。リッサネンはファッションと環境には明確な関連性があることに気づき、ニューヨークとシドニーで、持続可能なファッションや無駄を省くデザインに関する研究で博士号を取得した。そして2011年、持続可能なファッションと無駄が全くないデザインについて教鞭をとる初の教授として、パーソンズ美術大学に籍を置くことになった。

ファッションと気候変動

Pattern: Timo Rissanen; photo: Mariano Garcia
無駄のない」カーディガン
ティモ・リッサネンによる「無駄のない」カーディガンとそのパターン

リッサネンは目下、パーソンズ美術大学の全ての選択コースで学生が持続可能についてある程度学べるよう、カリキュラムの組み方を練っている。2013年には「持続可能システム」という1年生向けの必修コースも開発した。同コースでは、将来のデザイナーたちがファッションと水、土、空気、気候変動との関係について深い知識を身につけることを目指す。「ティモのクラスを受講して一番の収穫だったのは、デザインの過程について注意深く考えるようになったこと」だと、22歳のジェーコブ・オルメドは言う。クラスメイトのケーシー・バーバーは、「以前はデザインするときに『3~5回洗濯した後にどんな感じになるだろう』とか、『形や手触りは同じままだろうか』なんて考えたことはありませんでした。ティモのコースを終了して以来、無駄の全くないパターン作りや持続可能な生地の調達といったクリエイティブな服の作り方について探求し続けています」と語る。オルメドとバーバーは、チャレンジに満ちたリッサネンのコース初の卒業生となる予定だ。

生きるものが元気でいるために

ティモ・リッサネン本のプロジェクト
ティモ・リッサネンは、本のプロジェクトもいくつか手掛けている

持続可能な服作りの技術はラグジュアリーブランドにゆっくりと浸透している。消費者が環境保全に気を遣うようになったことや、グリーンピース等からの圧力も背景にある。また高級ブランドは大きな利幅のお陰で、有害な化学薬品を遠ざけ、染料等に関する知識を合わせ持つ有能な労働者を雇うことができる。ところが、人気の高い大衆ブランドは今でも持続可能とは言えず、有害な服作りを続けている。

服の質より量を重視するファストファッション文化もこうした現状に拍車をかけている。投稿した画像が2時間後には消えてしまうソーシャルメディアにかけて「インスタグラム現象」と呼ばれている。ファッションブランドは消費者に飽きられないために、常に新しいコレクションを生み出す。「もう本当に落ち込む話ですよね」と、リッサネンは溜息をもらす。だが20年もしないうちに、持続可能なファッションや無駄を省いたデザインが「単に素晴らしい商慣習」として受け入れられるようになるはず、とも楽観的に考えている。

リッサネンはデザイナーの卵たちを育成することで、持続可能なファッションや無駄のない服作りの概念を拡げようと日々健闘すると同時に、パーソンズ美術大学という枠を超えた活動もしている。研究者兼デザイナーのホーリー・マッキュリアンと「無駄を生まないファッション」展(2011年)を共催したり、「無駄を省いたファッションデザイン」(2016年)を共著したりしている。

大きな変化は個人レベルから始まると確信するリッサネンは、個人的な生活空間でも持続可能な方法を徐々に取り入れはじめた。買物に行くときは買物袋を持参し、食べ残した食品はクイーンズ地区にあるアパートの傍にあるコンポスティング施設に持って行く。衣服を洗濯するときは乾燥機を使わないことで服を長持ちさせる。「結局、持続可能ということは人間や他の生物がいつまでも地球上で元気に生存できる可能性のこと」。リッサネンは、環境学の学者John R. Ehrenfeld (Alfred . Hoffmanとの2013年の共著「Flourishing: A Frank conversation about Sustainability」がある)の言葉を引用しながら説明する。「単純なことですが、もはや当然のこととして捉えられなくなっているのが現状です」

By Sholeen Damarwala, April 2017, updated May 2017
https://finland.fi/business-innovation/finnish-designer-empowers-sustainable-fashion/

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更新 2017/10/10


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