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日本の編集者、トーヴェ・ヤンソンを語る - フィンランド大使館・東京 : 最新ニュース

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最近の出来事・お知らせ, 2014/06/17

日本の編集者、トーヴェ・ヤンソンを語る

鈴木良平氏提供
tove, suzuki large photo
湖畔を歩くトーヴェ・ヤンソンと鈴木良平氏

トーヴェ・ヤンソンが生み出したムーミン・キャラクターの人気はとどまるところを知らない。トーヴェの原画を展示するムーミン展が東京で開かれた際、わずか3週間の会期の来場者数は13万5千人を超えた。この人気キャラクターの生みの親、トーヴェとはどのような人物だったのか。実際に会ったことのある編集者に、彼女の人となりをお聞きした。

初代編集者が明かすエピソード

トーヴェの著作の翻訳本を手がけてきた講談社で、最初に編集を担当した鈴木良平氏は、テレビアニメの製作準備にも関わり、トーヴェと密に連絡をとった人物だ。

トーヴェがパートナーのトゥーリッキ・ピエティラを伴っての初来日の際、羽田空港で出迎えたのが初対面だった。

トーヴェは人ごみが苦手だったが、ひとたび郊外に行くといつも機嫌がよく、ひょうきんな面も見せた。「鈴木さん、ランデブーしましょ」と言って、湖畔の散歩に誘われたこともある。

夜になると感傷的になることもあったようだ。鈴木氏はトゥーリッキから、「トーヴェは夜になるとホテルの部屋で泣いているの」と打ち明けられた。老舗旅館の仲居さんから、「お部屋の近くを通ったときに、すすり泣きのような声が聞こえました」と耳打ちされたこともあった。

「どこへ行っても大歓迎でしたから、さぞや感激なさったのでしょう。新幹線に乗っていたときは、車掌が私たちに気がついて近くにやってきて、『私の子どもがムーミンの大ファンなんです。サインをお願いできますか』と言ってひざまずき、懐から手帳を取り出されたことがありました。トーヴェさんは驚いて言葉を失っていましたが、もちろん喜んでサインをし、ムーミンとスノークのお嬢さんのイラストを描いてあげていました」

ムーミン展での鈴木良平氏
ムーミン展で展示されたランチョンマットと鈴木良平氏

2人が三重県鳥羽への小旅行から戻ったときに、鈴木氏は思いがけないお土産をもらっている。投宿先で手にした紙のランチョンマットにトーヴェがムーミンのキャラクターなどをびっしりと書き込んだものだ。なんと、ムーミンがワイングラスを手にし、足元に日本酒のボトルらしきものも描かれている。このランチョンマットは、日本を現在巡回中の「ムーミン展」にも“出品”されている。

「トーヴェさんは私にこれを下さったと思ったら、ちょっと貸して、と言って、クスクス笑いながらこのビンにSAKEと書き加えたんですよ。お二人とも、日本酒がお好きで、いつも冷で召し上がっていました」

2人がコニカの8ミリビデオを欲しがっていることを知った鈴木氏は、1台プレゼントした。2人はとても喜び、旅の様子を記録した。2人が残した膨大なフィルムは、後に編集され、ドキュメンタリー作品として今年のトーキョー・ノーザンライツ・フェスティバルで上映された。2人が「スズキサン……」と話しているシーンもある。

トーヴェからもらったショールと温かな言葉

hiroko yokokawa
トーヴェからもらったショールと編集した本を手にする横川浩子さん

横川浩子さんは、1990年に鈴木氏のあとを引き継いで、トーヴェ作品の担当になった。のちに、憧れの作家・トーヴェのヘルシンキのアトリエを訪問している。

1993年4月20日、夕刻にヘルシンキのホテルに到着すると、トーヴェからの「明日の11時にアトリエで待っています」というメッセージをフロントで渡された。そして、その翌日、緊張してアトリエを訪問すると、温かな笑顔を称えたトーヴェが待っていてくれた。

「少しは本の話などしたと思うのですが、すぐにパーティーが始まってしまったのです。トーヴェさんの弟さん2人とトゥーリッキも参加して、楽しいひと時でした」

横川浩子さん提供
tove in vest
お土産のちゃんちゃんこを着たトーヴェと2人の弟

横川さんは、祖母に頼んで作ってもらった真綿入りのちゃんちゃんこをお土産に持参していた。それを手渡すと、トーヴェはお返しに、手編みのショールをプレゼントしてくれた。横川さんによると、トーヴェはこのプレゼントを日常的に愛用していたようだ。

ヘルシンキ出張の成果として、横川さんは、ムーミンが生まれたフィンランドについてまとめた本『ムーミン谷への旅』を手がけた。その本を受け取ったトーヴェから届いた手紙には、本の制作にかかわったすべての人、そして、出版社への謝辞がしたためられていた。「ブックデザイナーへのお礼までありました。当時、そのようなことは一般的ではなかったので、私はとても驚きました。思いやりがあり、良い本を作るということを、よく理解していた人だと思います」

tove san
トーヴェの直筆サイン

2人の編集者に送った手紙の宛名には、すべてsanと書き添えられ、自分の名前の最後にもsanと付け加えたトーヴェ。その直筆のTove sanの文字は美しく、しかもユーモアも感じられる。

muumi stamps
トーヴェが横川さんに送った封筒にはムーミン切手が使われていた。

講談社ムーミンの本Facebookページ

ムーミン展が東京でスタート

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更新 2014/06/24


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