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フィンランドで教師になりたい――高橋絵里香さん - フィンランド大使館・東京 : 最新ニュース

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最近の出来事・お知らせ, 2014/11/04

 フィンランドで教師になりたい――高橋絵里香さん

フィンランドと私――フィンランドと縁の深い日本人に思い出を語っていただくシリーズです。前回に引き続き、高校時代に留学した方をご紹介します。

 高橋絵里香さん提供
takahashi main
キャラクター図鑑のフィンランド語の本を手にする高橋絵里香さん.

 ここ数年、フィンランドへの留学を考えた人の大半が彼女の著書を手にしたのではないか。現在、フィンランドで大学生活を送っている高橋絵里香さんは、小学4年生のときに手にしたムーミン童話をきっかけにフィンランドに興味を抱き、中学卒業後、単身フィンランドに渡った。充実した高校生活をまとめた著書『青い光が見えたから 16歳のフィンランド留学記』(講談社)は、2007年の出版から版を重ねている。

高橋さんは4年間かけてロヴァニエミの高校を卒業し、オウル大学(地質学専攻)に進学。その後は生物学にも関心を広げ、教員になる道も模索して、卒業の暁にはフィンランドの中学校と高校で地理と生物を教える資格を取得する予定だ。

 2000年8月、ロヴァニエミへの旅立ち

未成年の外国人が身元保証人もなくフィンランド国内に長期滞在することはできない。高橋さんの場合もツテをたどり、留学先に決まっていたロヴァニエミで当面の身元引受人を見つけ、その後、ホストファミリーを紹介され、4年間お世話になった。

フィンランド語を生活の中で身につけ、フィンランドに馴染めたのも、娘のように育ててくれたホストファミリーの存在が大きい。フィンランドの家族は、JÄÄKAAPPI(冷蔵庫)、LEIVÄNPAAHDIN(トースター)など、台所にあるモノにフィンランド語の名前を書いて貼るなどして、きめ細かく世話をしてくれた。

学校でも、先生や同級生が温かく迎えてくれた。高校生活1日目。新入生全員の前で校長先生が高橋さんを紹介してくれたお陰で、廊下に立っているだけで色々な人が声をかけてくれて友だちも自然と増えていった。

「最初、フィンランド語をうまく話せなくても、そのことはあまり問題ではなかったし、『一人でフィンランドに来たことがすごいよ』と、私のことを肯定してくれる友だちが多かった」と高橋さんは言う。高橋さんのことを丸ごと受け入れ、理解しようとしてくれたフィンランドの人たちに囲まれ、高橋さんはだんだん、「大丈夫だな」と思えるようになっていった。

気持ちを理解し、助けてくれたフィンランドの友だち

高橋絵里香さん提供
takahashi friends
高橋絵里香さん(前列右)とオウル大学の友だち

大学生になり、日本の新聞社への連載を頼まれたことをきっかけに、オウル市の小学生の授業を1年間見学させてもらった。子どもたちが学習する姿を見ながら、高橋さんは「みんな、どうして私の気持ちを理解したり、考えていることが分かったりするんだろう」という高校時代の疑問が氷解していく思いをした。

たとえば、国語の時間では南米の先住民族について調べた人が発表し、それについてディベートしたり、「クジラの声を聞くことができるか」という問いに次々と意見を出しあったりしていた。正しい答えを求められることが多い日本の学校とは違って、フィンランドの教師は「正しい答え」を用意することもなければ、クラス全体の答えをひとつにまとめることもしない。

子どもたちは、自分の意見を発表すると同時に、クラスメートの意見をきちんと聞くことの大切さも学ぶ。他の人の発言中にしゃべる子がいれば、先生はその都度、人の話に静かに耳を傾けることの大切さを説明したという。

座学が中心になりがちの日本とは反対に、与えられたテーマについて自分で調べ、仲間同士で教えあう作業もよく行なわれていた。苦手な人とも同じ目的のために力を合わせられるよう、幼いころから訓練していることに加え、思考を促し想像力を育むような教育を受けているからこそ、人の気持ちを理解したり相手の立場に立って考えたりできるようになる――友だちが高橋さんの気持ちをよく理解してくれた理由はそこにあったのかもしれない。

他人との比較ではなく個人が評価される教育システムも、助け合いを容易にしていると高橋さんは感じている。高校時代の友だちは、必要なときに絶妙なタイミングで手を差し伸べてくれ、苦手だった生物では、友人が教科書の隅々まで丁寧に教えてくれた。

 将来への希望

2012年、彼女のムーミン好きを知る高校時代の友人が送ってくれたクリスマスプレゼントが、高橋さんに新たなチャンスをもたらした。それが、このほど出版された『ムーミンキャラクター図鑑』の翻訳だ。ムーミン作品に登場するすべてのキャラクターが紹介されているフィンランド語版を、冒頭で紹介した自著の担当編集者に贈ったところ、仕事の依頼が来た。この本を高橋さんは「自分とは異なる生き方をしている人たちを理解するための本」と表現する。

moomin zukan
高橋さんが日本語訳を手がけた本

フィンランドという国を深く知りたくて留学し、その体験をまとめた本が出版されるころには、フィンランドの教育が世界中から注目を集めていた。日本のメディアからも教育関連の問い合わせを受けたりするうちに、高橋さん自身も教育にも関心を寄せるようになった。

ある中学2年生の女の子が言ったそうだ。「学校は未来へ飛び出すためのジャンプ台よ」。その子にとって学校とは、可能性を広げてくれる場所。今、高橋さんはこういう生徒が増えるような仕事に就きたいと思っている。

フィンランドは第二のふるさと――スキー・ジャンプ選手 竹内択さん

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更新 2014/11/04


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