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フィンランドと私 – 一柳慧 - フィンランド大使館・東京 : 最新ニュース

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最近の出来事・お知らせ, 2015/11/25

フィンランドと私 – 一柳慧

フィンランドと縁の深い日本人に思いを語っていただくシリーズ。今回は現代音楽作曲界の重鎮、一柳慧さんです。

日本を代表する現代音楽の作曲家、一柳 慧。昨年2014年にはデビュー60周年を迎えた。現在でも精力的に交響曲やオペラの新作を発表し、第一線を走り続ける。一柳さんといえばジュリアード音楽院で学び、ジョン・ケージに師事するなど、アメリカのイメージが強い。海外の音楽祭から頻繁に招かれる国際派が、2010年に日本フィンランド新音楽協会を設立。今も会長を務める一柳さんにフィンランドの何に心魅かれたのか、お話をうかがった。

photo: Heikki Tuuli
Ichiyanagi with Seppo Kimanen
サマーサウンズ芸術監督セッポ・キマネンと懇談する一柳慧(2010)

フィンランドへの関心の始まり

2007年、駐日フィンランド大使館報道・文化担当参事官に着任したセッポ・キマネンとの出会いがきっかけという。本来はチェロの演奏家であり、音楽祭の芸術監督を務めるキマネンはフィンランド・ポルヴォーで開催されている現代音楽の祭典ポルヴォー・サマーサウンドへ熱心に一柳を招待した。
一柳としては、父親がチェリストだったこともあって、親近感を覚え、またキマネンの音楽へ向かう姿勢や造詣の深さに共感することも多く、親交を深めていった。

ポルヴォー・サマーサウンドに参加

アメリカ、ヨーロッパの国々に加え、北欧ではデンマーク、スウェーデン、ノルウェーに渡航経験はあったが、フィンランドは当時まだ見ぬ国。好奇心もあって、招待を承諾した。
ポルヴォー・サマーサウンド音楽祭(2010年6月30日 - 7月4日)にはメインの招待作曲家として参加し、自作12曲が紹介された。リハーサルを含め滞在期間は2週間に及び、通常、一柳が受ける海外への演奏旅行や音楽祭に比べて長いものであった。

photo Heikki Tuuli
ichiyanagi rehearsal
アヴァンティ!サマーサウンズ(2010) リハーサル風景

自然の美しいフィンランド。ちょうど白夜の季節である。この理想的な風景以上に心を動かされたのは人々との交流であった。演奏家集団アヴァンティとの、まるで初対面とは思えないような、良好な意思疎通や音楽祭事務局の真摯で誠実な対応など、後に強力なインスピレーションの源泉となった。
アヴァンティとの交流は続き、2年後にクラリネットのカリ・クリーックをはじめ、メンバー6名を招聘し、横浜と金沢で公演する。初来日の演奏家も含め、日本に対する好奇心は強く、目的に向かって積極的に東京を見てまわるメンバーに、「手がかからない」若干の寂しさを感じながらも、独立心に富み、行動するフィンランド人らしさを感じたという。

フィンランドが作品に与えた影響

多くの歴代作曲家が旅からインスピレーションを得て、新しい発想の作品を残すように、フィンランドから受けた感情の振動は蓄積し、「ピアノ協奏曲第5番 フィンランド-左手のための-」となって、2012年夏に結実する。独奏者は半世紀に及びフィンランドに根を張り、国際的に活躍する舘野泉。右半身の自由を奪う病に襲われた後も、演奏活動を続ける左手のピアニストのためのピアノ協奏曲である。このときはすらすらと筆が進み、完成まで2ヶ月と異例の早さであった。初演を聴いた、日本でシベリウスを指揮する機会の多い指揮者、尾高忠明からは「これぞフィンランド」というコメントをもらったという。
交響曲第8番を作曲中の2011年3月に東日本大震災が起きる。
翌年、フィンランド・コルスホルム音楽祭で、悲惨な出来事の心情を込めた交響曲第8番をフィンランド出身のハンヌ・リントゥが指揮をする。リントゥは震災直後の4月に来日し、予定通り公演した数少ない外国人アーティストの一人である。その後、東京都交響楽団の委嘱による交響曲第9番をリントゥ指揮で2015年に初演する。9番には常に一柳の意識の中にある核兵器の問題や戦争体験が込められ、それをリントゥが表現した。

タングルウッド音楽祭から未来へ

一柳とフィンランドとの出会いは、実は1960年代に遡る。アメリカ留学中に共に作曲を勉強するフィンランド人のレイノユハニ・ラウタヴァーラと知り合う。ギリシャ人の友人を含め3人の外国人学生が選考され、タングルウッド音楽祭に参加した。当時のラウタヴァーラの印象は、とにかくまじめで、練習室に一日中閉じこもり、ストイックにピアノの即興演奏をしていたという。今では3人とも国を代表する現代音楽作曲家の道を歩み続けている。
一柳の精力的な活動は続く。今年「一柳慧コンテンポラリー賞」を創設し、日本在住の作曲家、パフォーマー、指揮者、評論家を国籍不問で応援する。
東京オペラシティ財団の運営する同時代の音楽企画「コンポジアム」。今年、「武満徹作曲賞」の一人審査員を務め、自作を披露したのはフィンランドの女性作曲家カイヤ・サーリアホであった。コンポジアム2016年では同じ役を一柳が務める。

photo: Heikki Tuuli
Suvisoitto 2010
アヴァンティ!サマーサウンズ2010

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更新 2015/12/16


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