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フィンランドの教育のキーワードは「シンプル」 - フィンランド大使館・東京 : 最新ニュース

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最近の出来事・お知らせ, 2016/12/07

フィンランドの教育のキーワードは「シンプル」

ここ数年アメリカの学校教師やブロガーが、フィンランドの教育システムの成功の秘訣を探っている。だが答えは思ったより単純なものだ。

Photo: Riku Isohella/Velhot
This class activity involves moving words across the screen into different categories according to parts of speech.
授業中の様子。文章を名詞、動詞というように品詞ごとに分類している

19才の時、私はフィンランド人の妻(当時は彼女)と彼女の家族に会うために、初めてヘルシンキを訪れた。今から10年前になるその旅で、義理の母は「フィンランドのどういうところが一番好きなの?」と尋ねてきた。

私はフィンランドのシンプルさが最も気に入ったと答えた。しかし、賛成して頷く代わりに、彼女の眉毛がつり上がった。彼女はとても気に障ったようだった。私は、決してフィンランド人を非難したわけではないと言った。

この北欧の国がシンプルという宝物を多く持っていることに感銘を受けたと、説明した。例えば、サウナ、夏の別荘、赤ちゃんを迎える家庭に贈られるベビー用品がたくさん入った「育児パッケージ」や誰もが森など自然の中を所有者の許可なく自由に散策できる「自然享受権」など。フィンランドはシンプルな生活を通して上手く生きていく方法を知っている人々の国なのだ。

2013年にボストンからフィンランドに引っ越す前、フィンランドの学校教育を賞賛するレポートについて聞いた。そこで、OECDのPISAなどの学力調査で好成績をあげる背景には、高価で豪華かつ最先端な何かがあるのではないかと予想した。

[追記: 2016年12月6日にPISA 2015の結果が発表された。 フィンランドの15歳はそれぞれの項目で好成績をおさめた。今回科学的リテラシーでは、フィンランドはOECDの中で3位、73の国と地域の中では5位だった。読解力ではフィンランドは世界トップクラスに位置し、OECDでは2位、全体では4位。数学的リテラシーではOECDでデンマークと共に7位、全体では13位だった。]

しかし、ヘルシンキの小学校で2年契約の教師になった時、驚きの事実に出会った。私はフィンランドの教育の核心的な特徴を表現する6文字から頭文字をとって、キーワードを作成した。それは「SIMPLE(シンプル)」、つまり、Sensible(合理性)、Independent(自立)、Modest(簡素)、Playful(遊び)、Low-stress(低ストレス)およびEquitable(公平性)だ。

Sensible(合理性)

フィンランドは生徒のウェルビーイングを促すため合理的な取り組みを多く展開している。

  • 45分間の授業ごとに15分間の休憩時間が入る。このように休憩時間をとると、生徒たちが授業にしっかり集中できるとの研究結果がある。
  • 登校日には家庭の社会的および経済的環境に関係なく、フィンランドのすべての生徒に栄養たっぷりの無料給食が提供される。
  • 90%の小・中学校が効果的かつ研究で裏づけされた、フィンランドのトゥルク大学開発のKiVaと呼ばれるいじめ対策を導入している。
  • フィンランドの小・中学校の7割はFinnish Schools on the Moveと呼ばれる、子どもたちが体を動かす活動を奨励する全国的な取り組みを導入している。

Independent(自立)

Photo: Liisa Takala
Students in Finland enjoy a great deal of freedom and independence.
フィンランドの生徒たちは自由と自立を謳歌している。

ヘルシンキに引っ越した時、幼い子どもたちが保護者なしで街の通りを歩き回るのを見て衝撃を受けた。勤務先の学校でも似たような光景を見る。教師の引率なしで廊下を歩いたり、ランチの時間に食堂で温かい食べ物を自分で取ったり、自分自身で下校したりするといった、母国のアメリカでは見たことがないことを、ここの小学生たちはしているのだ。

教室では、多くの教師が生徒たちに決まった答えではなく自由な回答を求める課題を出すなど、自由を十分に与えることに慣れていることに気づいた。このような方針は、生徒たちの創造力を高めるだけではなく、クリティカルシンキングを鍛える。

さらに、能力の高い教師は教室で大きな裁量を持つ専門家として信頼されることは世界的にも有名だ。(教師に裁量権があることは、職場での幸福や職業を続けることにつながるとの研究結果がある。)

Modest(簡素)

Photo: Riitta Supperi/Keksi/Team Finland
Finland’s well-prepared teachers enjoy significant independence in running their classes.
フィンランドの高い能力を持つ教師には、クラス運営の裁量があり楽しんでいる.

フィンランドに引っ越した時、私は最新の教育方法、高価な教室設備、豪華な学校施設を期待していた。「世界最高の学校システム」はそういったものを教師と生徒に与えるのだと思っていたからだ。

しかし、フィンランドの学校をいくつか訪問してみても、そのようなものは見当たらなかった。それ以来私は、新しい教育方法、ハイテク機器、綺麗な施設は素晴らしいが、それは根幹ではないと結論づけた。フィンランドは、生徒のウェルビーイングを促進する学習環境で、能力ある教師が教えるバランスのとれたカリキュラムこそが最も重要だと言っている。

Playful(遊び)

Photo: Liisa Takala
A learning environment that promotes student wellbeing is one of the most important factors in a good education.
生徒のウェルビーイングを促進する学習環境こそが良い教育で最も重要な要素である。

フィンランドの親と教師の間には、幼い子どもたちには定期的に遊び時間をたっぷり設ける必要があるという考え方が広がっている。この考えを裏付ける研究結果もある。アメリカの研究『The Power of Play』によると、「短期的かつ長期的に、遊びは、認知的、社会的、感情的および身体的発達に役立つ」とのことだ。

実は、フィンランドのほとんどの子どもたちが小学校に入学するのは7才の時。入学前は、遊びを通じて物事を学びながらほとんどの時間を過ごす。

小学校入学後も、幼い生徒たちの学校生活に遊ぶ機会をたくさん設けている。1・2年生はたいてい、教室での授業は短い休憩を挟んだ約3時間のみ。午後になると、放課後のクラブ活動に参加し、たくさんの自発的な遊びをして忙しく過ごす。

Low-stress(低ストレス)

Photo: Liisa Takala
Quiet, relaxed learning environments help create a low-stress experience.
静かでリラックスした学習環境はストレスの低減化に役立つ

フィンランドのいくつかの学校を訪れるうちに、あるパターンに気づき始めた。それは、概して学習環境が静かでリラックスしていること。ストレスは学ぶ側にも教える側にも悪影響を与えるため、ストレスの少ない校内の雰囲気は、教師と生徒の皆にとって欠かせない。

Equitable(公平性)

フィンランドでは、ほんの一握りの私立学校を除き、すべての学校が公立だ。これは、全国的に高い水準の教育と学習が広まっていることを意味する。言い換えれば、子どもたちがフィンランドのどこで育っても、優れた教師、バランスのとれたカリキュラム、健康的なランチおよび質の高い教材の恵みを、無料で得ることができる。

フィンランドの教育は、子どもたちにとって「シンプル」に好ましい。

-2016年12月、ティム・ウォーカー(Tim Walker)

ティム・ウォーカー氏はアメリカ人の教師および作家。著書には『Lost in Finland』、『Teach Like Finland: 33 Simple Strategies for Joyful Classrooms』(2017年4月、W.W. Norton)』がある。

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原文はThis is Finlandより

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更新 2016/12/07


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