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フィンランドが波力発電技術で波に乗る - フィンランド大使館・東京 : 最新ニュース

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最近の出来事・お知らせ, 2017/01/10

フィンランドが波力発電技術で波に乗る

ヨーロッパ大陸の西海岸に打ち寄せる大西洋の大波。当たっては砕ける波の一つひとつに量りしれないエネルギーが秘められていることは一目瞭然だ。だが、そのエネルギーを安定的に予測可能な方法で捉えるのは難しい。どのような機器や施設を用いるにせよ、強固な耐久性や耐塩性に加え、海洋環境への配慮が求められるからだ。そんななか、フィンランドのスタートアップ2社が、排気ゼロで環境にやさしい波力発電で注目を集めている。

photo: Wello
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地球の表面のほとんどは海。波力はクリーンなエネルギー源として果てしない可能性をもつ。フィンランドのスタートアップがエネルギー分野で注目を集めはじめた。

クリーンな波力発電で波の頂点に立つスタートアップ2社

ヘルシンキ近郊に拠点を置くAWエネルギー社は、メキシコの電力会社と共同で、アメリカ大陸初となる波力発電所を建設することを発表した。一方、フィンランドのもう一つの波力発電スタートアップのウェッロ社も、英コーンウォールで波力発電プロジェクトに着手することになった。フィンランド電力会社最大手フォルタム社との共同プロジェクトであり、予算2400万ユーロの大半は、EUから融資を受ける。

photo: Wello
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沖合いに浮かぶ長さ30メートルのペンギン。完全に密閉された波力発電装置は、波の動きによって回転する。

「フィンランドは波では有名ではありませんが、波力発電の技術では間違いなく世界トップクラスになりました」と、フォルタムでR&D成長プロジェクトを担当するマネージャー、ミッコ・フーッモ氏は胸を張る。同社では2007年から波力発電に投資してきた。またAWエネルギーのジョン・リルイェルンドCEOも、「海も、大した波もないフィンランドで、波力発電で世界の頂点に立つ企業が2社も生まれたことは驚くべきことです」と語る。

AWエネルギーが開発した「ウェーブローラー」は、海底に設置された金属のパネルが波力で前後に動く仕組みになっている。一方、ウェッロの「ペンギン」は浮体型で、密閉された内部にある機器が波の動きによって回転する。

ウェッロのアキ・ルーッカイネンCEOは、「ペンギンの内部では常に回転しています」と説明する。「その運動が直接電力に変換されます。水中のペンギン外部で動いている機器は何もないため、海の厳しい環境にも耐えられます」

photo: Wello
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ペンギンは2007年、建築家兼発明者のヘイッキ・パーッカネンによって設計された。「エスポーにある自宅のガレージでいろいろなモデルを組み立て、近くの海で実験しました」

エスポーのガレージからスコットランドへ

ウェッロの概算では、長さ30メートルのペンギン1基で1メガワットまで発電できる。数基になれば、かなりの電力供給が可能だ。2007年にペンギンを発明した建築家のヘイッキ・パーッキネンが翌年、ウェッロ社を立ち上げた。

「エスポーにある自宅のガレージでいろんなモデルを作り、近くの海で実験しました」と、パーッキネンは笑う。「こうした機器を開発し、実験するのが趣味だったんです。チェスや釣りを楽しむ人のように、すっかり取りつかれていました」

実物大のペンギンはスコットランドのオークニー諸島での実験で12メートルの高波を生んだ嵐にもびくともせず、電力系統に電力を供給した。「3年かけて、ペンギンの基本理念の耐久性を実証しました。その間、部品の交換は一度もありませんでした」

photo: Wello
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ウェッロ社によると、ペンギンは1基につき、160キロワットから1メガワット(400世帯の使用量としては十分の電力)を発電することが可能。ペンギン数基を海に設置しても漁業や海洋生命に悪影響はない。

2社が外部に委託した調査によると、波力発電による海運業や海洋生命への重大な影響はない。「実際、ポルトガルでの調査では、海水による侵食に対しても効果的であることがわかりました」と、リルイェルンドは説明する。「波力発電機器や施設は人工の岩礁として、難破船のように魚を寄せつけます。漁師も地元のサーファーも喜んでいます」

地球で最大の未開発資源

AWエネルギーは2015年、世界で最も革新的な技術ベンチャーを対象とするレッドヘリング賞ヨーロッパ部門で入賞し、27もの国際的特許を取得している。ウェーブローラーについては、波を利用した機器として世界初の技術的実現可能性検証報告書が発行され、8メートル以上の高波にも負けずに成功したポルトガルでの電力系統連係実験後はロイドレジスター(ロイド船級協会)からも耐航性でお墨付きを得ている。

photo: AW-Energy
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ウェーブローラーは、岸に近い海底に設置される金属のパネル。波力で前後に動く。

「まったく新しい産業を作りだしているところです」と、リルイェルンドはいう。「この新産業の旗艦プロジェクトであるアイルランド・リムリック近郊のESBウェストウェーブ・プロジェクトを含め、3つの商業プロジェクトに着手しました」。アイルランドのプロジェクトでは、3500世帯分の電力に相当する5メガワットの発電が可能となる。フランスではフォルタム社と共同して、1.5メガワットを発電する。実験を行なったポルトガルでも本格的プロジェクトが始動した。

「波力発電が他の電力源に対して競争力をもつようになるには、当然のごとく時間がかかります。でも2025年までには、沖合いの風力によって利益が生まれるようになります」と、ウェッロのルーッカイネンCEOは予測する。

リルイェルンドも同感だ。「伝統的な電力源に挑めるようになるには10年はかかるでしょう。でも波力は、地球で最大の未開発資源です」

From thisisFINLAND, written by Wif Stenger, April 2016

 

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更新 2017/01/31


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