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心温まるフィンランド映画が世界を魅了 - フィンランド大使館・東京 : 最新ニュース

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最近の出来事・お知らせ, 2017/02/06

心温まるフィンランド映画が世界を魅了


2016年カンヌ映画祭の「ある視点」部門でグランプリを受賞した「オリ・マキの人生で最も幸せな日」は観た者を虜にして止まない。

フェザー級ボクサー、オリ・マキの実話に基づいた極めてフィンランド的な物語が世界中の観客の共感を呼ぶ理由を探る

1962年春のヘルシンキ。アマチュアのボクサーであるオリ・マキ(ヤルッコ・ラハティ)は、非常に野心的なマネージャーのエリス・アスク(エーロ・ミロノフ)のもと、日々、厳しい訓練に励んでいる。世界タイトル戦でアメリカ人チャンピオンのデイビー・モーア(ジョン・ボスコJr)と対戦することになったのだ。

会場の準備も万端、観戦チケットの販売も上々。オリ・マキばかりか、フィンランドにとっても重要な日がもう直前に迫っている。問題はマキの内にある。彼には全身全霊で戦う準備はできているのか? それとも、フィアンセのライヤ(オオナ・アイロラ)との将来のことで身も心もいっぱいなのだろうか?

ユホ・クオスマネン監督は、モノクロ撮影に、ほのかなユーモアとノスタルジアを加え、愛と野心、精一杯生きることへの願望を描くカラフルな物語を創りあげた。過去の出来事をとりあげたにもかかわらず、『成功』に執着する現代人についても考えさせる作品となった。

地域性と普遍的なテーマ

『オリ・マキの人生で最も幸せな日』予告編

多くの点でかなりフィンランド的な映画であるにもかかわらず、『オリ・マキの人生で最も幸せな日』には万国共通の魅力があるようだ。
2016年、本作品がさまざまな映画祭で上映されるに伴い、クオスマネン監督も世界各地を訪問する機会を得た。どこにいっても、観客の作品に対する反応は全く同じだったという。「最も分かりやすい反応は、誰もが大声で笑っていたことです。」

「フィンランド語を話す人口がとても少ないことや、ユーモアとその国の文化との深い関連性についてよく耳にしますが、私は少しもそうは思いません」と、クオスマネン監督は語る。観客はさまざまな背景にかかわらず映画のもつ価値観に共感することが出来るのだという。「映画が文化的にかなり特異なことを扱わない限り、場面のユーモアや感情は国境を越えてアピールすることができます。」

「映画業界人は全体的に、成功にこだわっています。他の映画監督はきっと、自分たちの仕事をとりまく状況がオリ・マキの物語に映し出されていると感じるのではないかと思います。」

「つい先日のこと、ドイツで出会った人に、まるで自分の人生がスクリーンに映し出されているような気がした、と言われました。90歳代のフランス人女性は、『私たちは、まったくあの通りだった』と教えてくれましたが、まさに簡潔なコメントです。要するに、愛や不安、喜びといった人間にとって共通の感情を映画の世界で共有するのは決して難しいことではないということです。」

強い女性、優しい男性

1960年代は多くの意味で重要な時期だったといえる。
「脚本を書いている途中で話題になったのは、映画の中の女性描写でした。作品がリリースされた後も、その点について多くの映画評論家が取り上げました。」とクオスマネン監督。「アメリカ人評論家からは、60年代のアメリカ社会には、映画にでてくるほど近代的な女性はいなかったと言われました。」「フィンランドについて普段はあまり誇りに思うことはありませんが、アメリカ人からそう言われたときは胸を張って『その通り。フィンランドの女性は本当にあのとおり強かった』と言い返せることを非常に誇りに思いました。」

作品には強い女性が登場するが、監督はそれ以上に男らしさ、男であることの意味に重点をおいた。フィンランド国内と国外では異なる表題にしたのも、そこに理由がある。フィンランド語の表題は、『微笑む男』だ。

「短いフィンランド語の表題を、何故わざわざ外国語の長い表題にしたのか、と国外の訪問先でよく訊かれます。」「実は、フィンランド人的感覚では、『微笑む男』は異常者とまではいわなくとも、珍しい存在なのです。」

「微笑む男は稀有な存在という概念は、オリ・マキという人物が強い男に求めらる期待にあまりこたえなかったという事実で更に強調されるのです」と監督は説明する。「伝統的なイメージのボクサーに比べると、マキはずっと朗らかで温厚でした。」

他の多くのフィンランド映画に比べて、クオスマネン監督の描くマキ像は新鮮だ。『メランコリックで自信がなく、自分の気持ちに素直になれない』者として扱われてきた従来のフィンランド男性のイメージから脱却しているのだ。

メディアの見方

Photo: KuokkasenKuvaamo/ Aamu Film Company
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オリ・マキ(左側前方/ヤルッコ・ラハティ)とデイヴィ・モーア(花束の男/ジョン・ボスコJr.)のマッチを徹底的に売り込みたいマネージャーのエリス・アスク(帽子姿/エーロ・ミロノフ)

1962年の世界タイトル戦前夜にオリ・マキに関するドキュメンタリー映画が収録された。その場面の描写は、映画『オリ・マキの人生で最も幸せな日』の主要部分のひとつだ。クオスマネン監督は、マキのマネージャーのエリス・アスク(エーロ・ミロノフ)がドキュメンタリー収録前に演出を工夫する様を描いているが、その演出は今日のソーシャルメディアむけでも十分通用する。アスクの演出によりオリ・マキは、写真映りの良い美しい邸宅に暮らしていることになり、カメラ向けにシャドー・ボクシングをし、踏み台を使用して自分よりずっと背の高いモデルとのツーショットに臨んだりする。

当時のアスクは実際、タイトル戦についての情報が口コミの力で一気に拡がるよう懸命に努力した。人々の生活におけるテレビの役割が増し、広告主もスポーツ界に進出しはじめており、時代がアスクらの味方となった。

「ボクシング界での仕事に関連し、アスクは米国を訪れています。」とクオスマネン監督。「当時のフィンランド市民には、ボクシングに対してそういう概念を持つ人は少なかったのですが、アスクは一大興行としてのボクシングを米国から輸入したかったのです。」

Photo: Kuokkasen Kuvaamo/ Aamu Film Company
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大成功をおさめつつあるユホ・クオスマネン監督の映画。だが、テーマのひとつは「成功ばかりが幸せな人生への切符ではない」ということ。

From thisisFINLAND written By Silja Sahlgren-Fodstad, November 2016

『オリ・マキの人生で最も幸せな日』は2017年2月11日から17日まで開催されるトーキョーノーザンライツフェスティバル2017で上映される。上映回数は1回。2月17日(金)19時よりユーロスペースで。

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更新 2017/02/28


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