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フィンランド外務省

フィンたんアニメ最終話がついに公開! 糸曽賢志監督にインタビュー - フィンランド大使館・東京 : 最新ニュース : お知らせ

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最近の出来事・お知らせ, 2017/09/15
Itoso with Fintan

フィンたんアニメ最終話がついに公開!
糸曽賢志監督にインタビュー

大使館マスコットを主人公にした日本初のアニメとして登場したフィンたんの動画シリーズ。今年のフィンランド独立100周年、また2019年のフィンランド・日本修交100周年を記念する事業として、アニメを通じて両国が互いに関心を高めてもらえればと願い制作された。今年2月の第1話、4月の第2話に続き、9月15日には完結編として第3話が公開された。

フィンランド大使館のツイッターアカウントは現在、13万2000以上のフォロワー数を誇る。2011年の開設後、翌年に「フィンたん」と名付けられ、同年夏には公募でフィンたんのイラストが決まった。採用されたフィンたんのイラストを描いたのが、アニメーション監督で、大阪成蹊大学造形芸術学科長・教授の糸曽賢志だ。フィンたんを、声も動きもある3Dアニメとして命を吹き込んだ糸曽監督に、3話分を完成させた後の実感や制作秘話を聞いた。

──9月15日の第3話発表で、フィンたんの動画シリーズがすべて公開されたことになります。フィンたんをアニメにするという企画、振り返ってみていかがですか?

僕は、どんなお仕事でもご依頼があれば「やります、やれます」と言うようにしているんです。なので、今回のフィンたんも「やります」と即答でお引き受けしてから、この企画はどうやれば面白くなるのかを考えていきました。もちろん物語の部分は重要ですし、フィンランド独立100周年というのをどう出すのかが難しいところでした。普段の仕事ではあまり考えないことがたくさんあって面白かったけれど、ちゃんと伝わるかな?と心配だったんです。今は無事仕上がって、ほっとしつつも、まだ総括できていないところもあるというのが正直な心境です。

──まず制作スタッフを探すところから始められたんですよね。平面の絵でしかなかったフィンたんを立体にして動かす、というのはやはり大変でしたか?

海外の方が見る可能性もあるから、3Dで作ろうと思ったのですが、フル3Dアニメの監督をやるのは初めて。それでも、既存の3Dアニメとは違うものを目指そうと思って考えました。

3Dではどういう表現が可能なのか、いろんな人に話を聞いて模索しました。とてもありがたかったのは強力な3Dスタッフが手伝ってくれたことです。普段から大作アニメのCGディレクションを担う方が快く参加してくれたおかげで、スタッフも腕利きの方が集まってくれて。おかげさまでキャラクターのモデリングも演技も作品全体の質感も、イメージ通りに仕上がりました。

もともと僕は、手書きや水彩画のような温かいタッチが好きなんです。コンピュータを使う3Dは誰でもきれいに描ける半面、ムラとかがなくなって、逆に味気ない感じがするんです。なのでフィンたんの3Dも、出来上がったデータの上に画用紙などの質感を付け足して、手描きっぽく仕上げています。

Fintan first episode
水彩画のような風景が印象的な第1話

──風景を水彩画っぽくしただけでなく、フィンたんにも手書きの風合いを取り入れていたんですね。実際に仕上がった「動くフィンたん」を見てどうですか?

率直に嬉しいです。個人的にはイメージ通りになったと思っています。可愛く動いているし。

フィンたんを描いてから、意外と時間が経っているんですよね。あの当事は、フィンたんがこうなるとは想像していませんでした。(2012年にフィンたんのイラストを公募した)コンペから始まり、独立100周年記念としての動画制作に関わることができて光栄です。企画当初はアニメではなく漫画という案もあったけれど、せっかくやるならフィンたんを動かしたほうが面白いのではないかと。

──フィンランド大使館のSNSを通して、フィンランドと日本両国で物語のアイデアを一般公募したんですよね。

フィンランドについて調べ上げた上でこういう話はどうですか?と提案されていた方と、雰囲気重視で物語を書いてくださった方と、2つに別れていた気がします。最終的にはいろいろなアイデアのエッセンスを入れて制作できたと思っています。実際の脚本にはバラエティー番組の構成作家も関わってくださったので、笑いの要素を入れることもできました。結局3つの異なる話を作ることになりましたが、第3話ではフィンたんの動きもだいぶこなれてきて、一番可愛らしく見えました笑。

──そうですか笑?アニメの長さが2分という制限はどうだったんでしょう。

2分の尺って難しいんですよね。細かい説明はできないので、わかりやすさを優先しました。フィンたんやフィンランドについて事前知識がない方にも伝わるように、アクションも大げさにして作ってもらいました。とくに第3話は場所がずっと一緒なので、飽きられるかもしれない。最後まで観てもらえたのは、フィンたんのオーバーリアクションな可愛い動きがあったからだと思います。

あと、声も良かったですよね。

voice recording
レコーディングを終えた後、声優陣と制作チームと一緒に記念撮影するフィンランド大使館のマルクス・コッコ報道・文化担当参事官

──そうですよね!フィンたんの声を担当された人気声優の早見沙織さん、実は今まであまり男役をしていなくて、ネット上ではファンの方から驚きの声が上がっていました。あえてねらって、早見さんを起用されたのでしょうか。

そうですね。事務所にオファーする前に、早見さんが声優として出演した過去の作品の声を聞いて、この方は演技力に幅があるし、ちょっと低めの声で男の子を意識して喋ってもらえれば、多分はまるなという直感があったんです。新しいキャラクタ「ゆき」を担当した州崎綾さんもフィンランドの大ファンでしたし、楽しんで演じてくださって嬉しかったですね。1話のみの登場でしたがアナウンサー役の神原大地さんはシーンごとに声としゃべり方を使い分けるという工夫をしてくださったのも良かったし、2話に登場するおばあちゃん役の秋保佐永子さんもイメージにぴったりでした。総じてキャスティングはすごく上手くいった気がします。声の収録現場では注文をつける必要がなくて、仕上がりも本当に良かったです。

──アニメ制作の上で苦労した点はありますか?

こんな仕事をさせてもらいながら申し訳ないのですが、実は僕、まだフィンランドに行ったことがないんです。フィンランドの風景を描きながら、「これ違う」となってしまっては、100周年の意味もなくなってしまいます。フィンランドの景色をたくさん集めたサイトとかも見てみたんですが、観光地が多いんですよね。スタッフ間でどうしようかなと悩んで、最終的にGoogle Earthで「散歩」して、実際にある場所を参考に描いてみました。今まで初めて行く場所をGoogle Earthで検索することはあったんですが、まさか作品作りに使えるとは思ってもみませんでした。

Kenji Itoso
Itoso working
第2話を製作中の糸曽監督

──アニメのなかには、わかる人にはわかる「細かいこだわり」やオマージュがたくさん盛り込まれています。

「フィンランドのあるある」をまとめた膨大なリストを作ってくれたスタッフの方もいたんですよ。こだわりのひとつが、エンディングで流れるフィンランド民謡「イエヴァン・ポルッカ」。乃木坂46の生田絵梨花さんが歌詞を丸覚えして歌ったことで話題になった曲です。音源だけであれば自由に使える古い民謡なのですが、適当なデータが見つからなかったので、音楽担当の方に「耳コピ」でアレンジしてもらって、ポップに仕上げてもらいました。

ほかにも劇中内でもっといろいろ盛り込みたいエピソードがあったんですよね、たとえば1話に奥様運び大会を入れるとか。面白くなりそうなネタはたくさんあったので。

──脚本の初期段階では、フィンたんがかつらをかぶって奥様役をやるって書いてありましたもんね笑。今後、フィンたんにはどう展開してほしいですか?いまフィンランドの大学生たちがフィンたんが主人公のVRを製作中ですが、アニメとしても広がってほしいですよね。

3Dのモデリングデータはあるので、新しい動画を作ることはそんなに大変ではないんです。スポンサーがつくと一番いいんですけどね。企業とのコラボで、新しいアニメや少し長いものを制作できれば楽しいですね。

──最近の糸曽さんのご活動を教えてください。

大阪成蹊大学で教えながら、今年から学科長として経営にも携わっています。僕の専門はキャラクターデザインやアニメーションなので、そういった技術を学生に伝えつつ、アニメ業界とのパイプ役にもなれればな、と。後続育成に力を入れていて、学生たちが実践的に学べる場を提供するためにも、自分のオリジナル作品を立ち上げようとしています。そういう意味では、フィンたんアニメをやってよかったなと思っているんですよ。3Dのことを経験させてもらえたので、3Dに興味がある学生にも対応できるようになりました。

個人的に嬉しいのは、フィンランド好きな方とお話すると、ほぼ100%フィンたんのことを知っているんですよね。「フィンたん描いたんですか?」って。今までいろいろなお仕事をしてきましたけど、わかりやすく驚かれるのを見ると、人のために何かができたのかなっていう気持ちになります。昔は、人を喜ばせることができればという思いで絵の勉強を始めましたけど、こうやって知らない人とつながっていたんだというのを感じられると、率直に嬉しいです。

フィンたんで、もっと何かやりたいですよね。アニメの制作スタッフたちとも、そう話していたんです。

Itoso during interview
フィンランド大使館でインタビューに応じる糸曽監督

──それは嬉しいですね。最初スタッフを探していたときの、皆さんの反応ってどうだったんでしょう?

よく聞いたのが「大使館ってそういう面白いことをするんだ」という驚きの声でした。普段はアニメ好きの方に向けて制作しているので、それ以外の方々にも作品を見てもらえるというのは盛り上がるんです。試みが面白いから、スタッフもすごい面々が携わってくれたんだと思います。多忙な方々が、大使館の企画だからといって一肌脱いで協力してくださいました。

──本当にありがたいことです。2年後には日本とフィンランドの外交関係樹立100周年ですし、こうなったら2019年に向けて何かやりたいですね笑?

そうですね。2020年になれば、今度フィンたんがスポーツやればいいんじゃないですか?

 ──勝手に東京オリンピック応援!みたいな。夢がある感じがしますね。

第1話が公開されたときの大使館記事
第2話が紹介されたときの大使館記事
フィンたんの紹介ページ

糸曽賢志(いとそ けんじ)プロフィール
アニメーション監督、株式会社KENJI STUDIO 代表取締役。大阪成蹊大学 造形芸術学科長・教授。10代でスタジオジブリの宮崎駿監督に師事後、2006年に大林宣彦氏のプロデュースにより映画「セイキロスさんとわたし」で監督デビュー。近年は「SMAPコンサートツアー」映像の監督、劇場版「進撃の巨人」のプロデューサー、劇場アニメ「サンタ・カンパニー」の総監督など幅広く手がけ、作品は「カンヌ国際映画祭」等で評価されている。クラウドファンディングを活用した作品製作に造詣が深く、Kickstarterで累計金額8億円以上の資金調達に成功し、ギネス世界記録にも登録されている。

Fintan episode 3
第3話のラストシーン
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更新 2017/10/10


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